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読書の秋。道草の秋。

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秋にオススメの、アウトドア!?な一冊。

読書の秋ということで、スタッフおすすめの本を一冊ご紹介…するのですが、今回の本は秋の夜長に読みふける物語とは、少し違います。どちらかと言えば、明るい日差しのもとに連れ出してほしい一冊。

その名も、『子どもと一緒に覚えたい道草の名前』。

本屋さんでこの本を見つけたとき、表紙のイラストのやわらかい印象と、“道草”という懐かしい響きに惹かれ、思わず手を伸ばしました。

きれいなイラストだけじゃない!遊び方の提案まで。

ぱらぱらとめくってみると、いわゆる“雑草”と呼ばれる草花のイラストが、ひとつのページに大きく載っています。

イラストの隣のページにはその名前や由来、特徴などの説明が。見つけやすさの項目、花言葉なども書かれています。

次の見開きにも説明が続き、最後には「この道草を摘んだら、こんなふうに遊べるよ」という提案も。

「この雑草って、こんな名前だったんだ!」という発見とともに、いままで“雑草”だと思っていた草花ひとつひとつに花言葉があり、自然の中で生き抜くための不思議な生態系があるのだと驚きの連続です。

例えば、ピーピー豆という名前で親しまれるカラスノエンドウは、花と茎のつけ根から“蜜”を出すことでアリをおびき寄せ、毛虫やアブラムシから自分を守っているのだそう…。

本をながめているうちに、「家の近所にはどんな道草があったかな」と実物を見たくなってきたので、子どもを連れて“道草探し”に行ってきました。

ねこじゃらしの真の姿は…。

家から出てすぐに見つけたのが、ねこじゃらし。「ねこじゃらしは知ってるよ〜」と思いながら本をめくってみると、なんと正式名称はエノコログサというそう!

ふさふさした穂が犬のしっぽに似ていることから「犬ころ草」と呼ばれるようになり、それが転じてエノコログサになったとか。ねこじゃなくて、犬だったんですね…!

遊び方は、毛虫のようにモゾモゾ動かしたり、手や足に当ててくすぐったり。

雑草遊びの定番といえば、服にくっつくアレ!

次は雑草遊びの定番、ひっつき虫(地方によってはくっつき虫・どろぼう虫)を探してみました。時代が進んでも、「服にくっつけて遊ぶ」という方法はいまも昔も子どもをトリコにするはず…!と思ったのですが、なかなか見つかりません。本を見てみると、ひっつき虫の正体はオナモミ。子どもの頃はどこにでもあったような気がしましたが、最近はずいぶん数が減っているのだそう。代わりにオオオナモミという別の種類が増えているのだとか。

けっきょくひっつき虫は見つかりませんでしたが、その代わりに小さな赤い花や、紫色の実がなった植物を見つけました。今までは「雑草がたくさん生えているな」としか思っていなかった場所に、いろいろな植物が生えているものだなあとちょっと関心…。

本には載っていませんでしたが、調べてみるとミズヒキという花だそうです。そう言われてみると確かに、細い茎と花の赤色が水引に見えますね。

こちらはコムラサキ。こうした実を、子どもの頃おままごと遊びに使った思い出があります。子どもが雑草を摘んだり、遊んだりすることは、種子を遠くに飛ばす手助けになっているのだそう。

見つけた道草たちを、“ずかん”にまとめて。

家の近所を少し探しただけで、たくさんの“道草”を見つけることができました。摘んで遊ぶだけでなく、観察したり特徴をまとめたりできるように『道草ずかん』をつくったので、“道草探し”したときはぜひ使ってみてくださいね。

子どもと一緒に、道草を探しに。

思い返せば子どもの頃は、学校が終わるとこうして葉っぱを摘んだり、綿毛を飛ばしたり、たっぷり道草しながら帰ったものでした。だんだんと道草しなくなり、雑草の名前も知らないまま大人になった今日この頃。この本を眺めながら、「道草していたあの時間って、ずいぶん“豊か”だったんだなあ」と実感しました。

『子どもと一緒に覚えたい道草の名前』は、大人にとっては植物の不思議やおもしろさを再発見し、忘れていた子どもの頃の感覚をちょっと思い出すきっかけに。子どもにとっては道草の楽しさをより深めてくれる、そんな一冊。

イラストがきれいなので、本をあまり読まない子でも図鑑として楽しめると思いますよ。この頃家にこもりがち…という方も、子どもたちとお家のまわりをじっくり道草してみる、という週末の過ごし方はいかがでしょうか。

子どもと一緒に覚えたい
道草の名前

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この記事を書いた人

増田 ななこ

ラジオを愛する元テレビディレクターのコピーライター。人生で初めて読んだ漫画は『銀牙 -流れ星 銀-』です。