2019-01-23 世界の子育て いろいろな子育て.1 #世界の子育て #子育てあるある ~オーストラリアのヒューズさんご夫婦に聞いてみました~ 我が社のスタッフのお知り合いに、オーストラリアから来られて、長らく日本にお住まいになっているヒューズさんご夫婦がいらっしゃると聞きつけ、「お話を聞いてみたい」とお二人に会ってきました。 ご主人のディーンさん、奥さまのレイチェルさんのお子さんは、エリオットくん(14歳)とシメオンくん(11歳)。 オーストラリアの子育てについて、そして日本との違いについて、ご自身の体験をもとに語ってくださいました。 まず聞きたかったのは、オーストラリアも共働きの家庭が多いのか?という疑問。 するとディーンさんは「日本と同じでとても増えています。私たちの親世代は“父親が働き、母親が家庭を守る”という考え方が一般的だったそうですが、今では出産後も仕事を続けている女性がとても多いです。出産後の社会復帰は長くて1年、短くて6週間程度、一般的には3~6ヶ月ですね」と、意外と日本よりも早く職場に戻っているよう。 ということは、まだ小さな赤ちゃんのお世話が必要になるため、ご主人も家事に協力することが定着しているのでしょうか? 「ええ、もちろん。私の妹夫婦は夫が夕食づくりを担当していますし、うちもディーンが仕事帰りに保育園のお迎えに行っていました。 親の協力を得るなど分担のかたちは家庭によって違いますが、お互いがフォローし合えるようにどの家庭も工夫していますね」とレイチェルさん。 「こちらに来た当初は、毎朝のように自転車に子どもをのせて走っているお母さんを見かけて、会話をしながら走る姿に微笑ましく感じたと同時に、父親が一緒にいるのは少ないんだな、という感想を抱いたのを覚えています。でもこの7年間で父親が育児参加している姿を目にすることも増えたように感じますね」と話されます。 なんだかオーストラリアの人の子育てって、おおらかそうなイメージが ありますが、実際のところはどうなんでしょう? 「日本と比べて、オーストラリアの方が幼児期のしつけに少しきびしいと感じますね。 たとえば私たちは、子どもが小さなころから台所の中に入ってはいけないと教えていますが、台所に入ってきたら“パチン”と手の甲を指で弾いて“いけない”ことを伝えます。歯が生えてきた赤ちゃんが、おっぱいを噛んだらほっぺを“パチン”。こうして“やってはいけない”ことを小さなときから記憶させる教え方が主流です」とディーンさん。 さらに日本で驚いたこととして、「道を歩いていたら、公園で遊んでいた子どもがボールを追いかけて公道に出てきたのです。あれにはとてもびっくりしました。というのも、オーストラリアでは5歳頃までに交通安全指導を徹底するのであのような危ない行為を見かけることはありません。そういう意味でも、日本のしつけや教育は低年齢期に甘く、小学校・中学校へ上がるほどきびしく窮屈になり、逆にオーストラリアは低年齢期にきびしく、だんだん自由になっていく印象があります」と話されます。 幼稚園児がおもちゃの取り合いをして、ひとりが持って走っていっても親があまり叱らない状況を目にしたときに、「自分は王子様のように大事にされている」とあの子自身が思うだろうなと感じたそう。親子の関係が友だちのようなのはとても好感がもてるものの、いざというときに叱らないことにオーストラリアとの子育ての違いを実感されたようです。 最近のヒューズさんご夫婦の悩みごとは、息子たちのプチ反抗期。 「夫は“うちの子が反抗期だって?!”ととても驚いていましたね。 どこのお家でもあることかもしれませんが、スクリーンタイム(iPadで遊ぶ時間)をいつまでたってもやめないのです。“30分過ぎたよ” “もう40分だよ”と声をかけてもやめず注意すると怒る。私はそれをすることで睡眠時間が減って翌日に影響することが気になりますし、いま一番大切なことはなにかを考えるようになってほしいのです」と冷静なレイチェルさん。このような悩みはどの国も同じなのかもしれません。 ヒューズさんご夫婦はこういう状況に対し、無理にやめさせても機嫌が悪くなるだけなので、サイクリングで一緒の時間を過ごしたり、サイエンス系の動画を一緒に見て、ぎくしゃくした雰囲気が続かないように意識をされているそうです。 オーストラリアでは、大人になると自分の意見や考えを出すことが当たり前とされることから、しつけや教育についても日本とは考え方や方針が違うことが感じられました。そしてヒューズさんご夫婦の言葉からも、子どもの個性を尊重する愛情にあふれた姿勢が伝わってきました。 ディーンさん、レイチェルさん、お話を聞かせていただきありがとうございました。 この記事を書いた人 矢野 麻夢